2023.01.30コンサル
コンサルって何?と聞かれたら、今の私なら「ストーリーを調整する仕事かな!」とお答えします。私が携わっているのは建築物のエネルギーや二酸化炭素排出削減、主に建築設備に関わる省エネルギーの仕事ですが、発注者は、エネルギーや建築設備について何かしらお困りごとをお持ちです。そしてそのお困りごとに関して、漠然としているかもしれませんがあるストーリーをお考えのことが多くあります。そのストーリーを補強したり、軌道修正したり、細部を詰めたりするのがコンサルの仕事、と私は考えています。
例えば、なるべくわかりやすい説明にしたいので話を小さくしますが、あなた(発注者)はエアコンを買い替えようと考えています。候補は、A:最新式で効率は高いが高価なエアコン、B:型落ちだから効率はまあまあで価格もほどほどのエアコン。さてどちらを買えばいいのか、と私(コンサル)に相談するとします。
ひとつの考え方として、投資回収年というものがあります。平たく言うと「何年で元が取れるか」ということです。ここでは将来価値などは無視して単純に計算しますが、200,000円のエアコンに買い換えた時に電気代が年間36,000円削減されるなら、投資回収年は200,000円÷36,000円/年で約5.6年となります。100,000円のエアコンで電気代が年間10,000円削減されれば投資回収年は100,000円÷10,000円/年で10年となります。投資回収年は短い方がいいですよね。
コンサルは、発注者の「エアコンを買い替える」というお困りごとのストーリーを最適なものにするため、「エアコンを年間どのくらい使っていますか?」とお聞きします。なぜなら、「最新式のエアコンで電気代が3割減る」としても、エアコンの電気代が月平均10,000円の場合は削減額は3,000円/月×12か月→年間36,000円となりますが、エアコンの電気代が月1,000円なら、削減額は300円/月×12か月→年間3,600円にしかならないからです。
お気づきと思いますが、最適なストーリーのためには、現在エアコンの電気代がいくらなのか(どれだけの電力を使用しているのか)の設定がとても大切になります。200,000円のエアコンで電気代が年間3,600円の削減だと投資回収年は56年、エアコンは50年も使えませんから回収という考え方には適さないということになります。200,000円投資するのか、100,000円にしておくのかの判断に影響しますね。
発注者が設備更新をしようとする時の投資の判断材料を検討するのも、省エネコンサルの仕事のひとつです。発注者のお困りごとが改善し、よりよい状態で建物(建築設備)をお使いいただくことのお役に立てたらと考えています。